起業ガイド [個人事業主編]

これから個人事業主・フリーランスとして起業する方が、開業までの「やること」を一枚で見渡せるガイドです。
準備から開業後までを4ステップに整理しました。まずは全体像をつかみ、気になる項目は個別記事で深掘りしてください。 ご注意(2026年時点):制度・金額・期限は2026年(令和8年)時点の情報です。税制改正などで変わることがあります。最新は所轄の税務署・お住まいの自治体等でご確認ください。

ステップ1 準備(土台をつくる)

このステップのゴール:開業前後に、事業の足場を固める。ここでつまずかなければ、その後の経理や手続きがぐっとラクになります。
01 事業の方向性・屋号を決める 開業前

何を・誰に・いくらで提供するかを決めます。屋号(事業の名前)は任意です。
屋号は後から決める方も多数。屋号付き口座があると信用面で少し有利です。

02 許認可・資格の要否を確認する まず最初に

飲食・建設・古物・美容・士業などは、許認可がないと開業できません
迷ったら、管轄の役所(保健所・警察署など)に電話で一度確認するのが確実です。

→ 許認可・資格の調べ方ガイドを読む
03 事業用の銀行口座・クレジットカードを分ける 開業準備時

生活費と事業のお金を分けると、記帳も申告もぐっとラクになります。
私見ですが、開業初日にまず事業用口座を1つ作るのが、いちばんつまずきません。

04 開業資金・運転資金の計画を立てる 開業前

開業費+数か月分の固定費を見積もります。不足なら日本政策金融公庫の創業融資も選択肢です。
一般的に、生活費を含め半年分の資金があると安心して走り出せます。

→ 開業資金・運転資金の計画の立て方を読む
05 クラウド会計ソフトを決める 開業直後

青色申告の65万円・55万円控除は複式簿記が前提。クラウド会計(freee など)なら銀行・カード連携で自動で仕訳できます。
早めに決めて記帳に備えると、申告期にあわてずに済みます。

→ 会計freee公式ページ

ステップ2 届出(公的な手続き)

このステップのゴール:税務署・自治体への書類を、期限内に漏れなく済ませる。期限のあるものが多いので、まとめて確認しておきましょう。
01 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署へ 開業から1か月以内が目安

事業を始めたことの届出。提出先は納税地(原則はお住まいの住所地)の税務署です。
2025年から控えに収受印が押されません。e-Taxの受信通知など「提出した記録」は自分で保管を。

→ 開業届・青色申告承認申請書の出し方を読む
02 青色申告承認申請書を税務署へ 3/15まで(1/16以後開業は2か月以内)

青色申告の特典(最大65万円の特別控除・赤字の3年繰越し・家族給与の経費化など)を受けるための申請。開業届と同時に出すのが定番で、出し忘れると初年度の特典を逃します。

→ 青色申告のメリットを見る
03 都道府県への事業開始等申告書を提出する(個人事業税) 自治体により異なる

都道府県へ出す地方税の届出(名称は自治体で異なります)。所得290万円以下なら原則かかりません
提出期限は自治体差が大きいので、お住まいの都道府県税事務所で確認を。

04 インボイス(適格請求書発行事業者)登録を判断する 任意・早めに判断

登録すると消費税の課税事業者に。取引先がBtoB中心なら求められやすいです。
迷ったら主な取引先に「インボイス要りますか?」と一度聞くのが確実。特例は改正含みなので、試算のうえ専門家へ。

→ インボイス登録の判断ガイドを読む
05 〔家族に給与を払う場合〕青色事業専従者給与に関する届出書 3/15まで(1/16以後開業は2か月以内)

家族への給与を経費にするための届出です(青色申告者が前提)。
家族に手伝ってもらう予定があるなら、早めに出しておくと安心です。

→ 青色事業専従者給与の要件・届出ガイドを読む
06 〔人を雇う場合〕給与支払事務所等の開設届出書・源泉所得税の納期の特例 開設から1か月以内

人を雇い給与を払うと源泉徴収の義務が生じます。「給与支払事務所等の開設届出書」を開設から1か月以内に税務署へ。
従業員が常時10人未満なら「納期の特例」で、納付を年2回にまとめられ手間が減ります。


ステップ3 お金・社会保険まわり(生活と事業の土台)

このステップのゴール:退職にともなう社会保険の切替+将来への備え。手続き期限が短いものもあるため、退職前後に確認を。
01 健康保険を切り替える(退職して開業する人) 退職後すぐ

①国民健康保険、②前職の任意継続、③家族の扶養、④業種別の国保組合 の4択。任意継続は20日以内と期限が短めです。
私見では、まず国保と任意継続の保険料を両方試算し、安い方を選ぶのが定番です。デザイナー・建設・美容などの業種は国保組合(文芸美術国保・建設国保など)に入れる場合があり、保険料が定額のため所得が増えるほど有利になります。

→ 退職後の健康保険(国保・任意継続・扶養)の選び方を読む
02 国民年金(第1号被保険者)へ切り替える 退職から14日以内

厚生年金から国民年金へ。市区町村で手続きします(国保と同時に可能)。
配偶者が扶養(第3号)だった場合は、配偶者の切替も忘れずに。

03 〔退職して開業する人〕再就職手当を確認する 開業前にハローワークで確認

雇用保険の基本手当の支給残日数が3分の1以上あるなどの要件を満たすと、残りの手当の60〜70%を一時金で受け取れる場合があります。開業(自営開始)も対象になり得ます。
要件が細かいため、開業届を出す前にハローワークで確認するのが確実です。

04 小規模企業共済(退職金づくり+節税) 利益が出てきたら早めに

個人事業主の退職金制度。掛金は全額が所得控除になります。
一般的に、利益が安定したら最優先で検討したい節税策です。取引先の倒産に備えつつ掛金を経費にできる「経営セーフティ共済」という制度もあります。

→ 小規模企業共済・iDeCo・NISAの使い分けを読む
05 iDeCo(個人型確定拠出年金) 随時

自分で運用する私的年金。掛金は全額所得控除。上限は月6.8万円(2026年12月から月7.5万円へ引上げ予定)。
小規模企業共済と併用でき、両方使うと節税効果が大きくなります。

→ 小規模企業共済・iDeCo・NISAの使い分けを読む
06 上乗せ年金という選択肢(任意) 任意

第1号は将来の年金が薄くなりがち。付加年金(月+400円)や国民年金基金で上乗せできます。
付加年金は少額で効果が分かりやすく、最初の一歩におすすめです。


ステップ4 開業後ルーティン(続けるための仕組み)

このステップのゴール:日々の運用を仕組み化する。ここを仕組みにできると、毎年の確定申告がぐっとラクになります。
01 電子帳簿保存法(電子取引データの保存)に対応する 開業後すぐ仕組み化

メールやWebで受け取った請求書・領収書は、電子データのまま保存するのが原則です(2024年〜)。
まずは「電子で来たものは消さずに保存」だけ徹底すればOKです。

→ 電子取引データ保存の最小対応(3点セット)を読む
02 請求書・領収書・経費の証憑を管理する 開業時にルール化

証憑(請求書・領収書・レシート)には保存義務があります(青色は原則7年)。
月1回フォルダにまとめるだけで、申告前の慌てがなくなります。

03 毎月、数字を見る習慣をつける 毎月

売上・経費・利益・残高を月1回チェック。そのまま経営判断の土台になります。
私見では、毎月5分でも数字を見る人ほど、資金繰りでつまずきません。

04 納税資金を取り分けておく 売上が入るたび

初年度の所得税・住民税・国民健康保険料は、翌年にまとめてやってきます。「2年目の納付で資金が足りない」が個人事業でいちばん多いつまずきです。
一般的に、売上の2〜3割を納税用の口座に取り分けておくと安心です。

05 事業とプライベートが混ざる費用は按分する(家事関連費) 確定申告前に毎年確認

自宅家賃・光熱費・通信費・車などは、事業で使う割合だけ経費にできます。
面積や使用時間など「説明できる基準」で割るのがコツ。根拠メモを残しましょう。

→ 経費按分・家事関連費のガイドを読む
06 翌年の確定申告に向けて段取りする 翌年2/16〜3/15

課税期間は1〜12月、申告は翌年2月16日〜3月15日。青色・各種控除はここで効いてきます。
日々の記帳ができていれば、申告はその総まとめになるだけです。

→ はじめての青色申告準備ガイドを読む
「freee開業」で書類づくりがラクに

質問に答えるだけで開業届・青色申告承認申請書などを自動作成でき、e-Tax・印刷・郵送に対応します。当事務所はクラウド会計 freee の導入支援を得意としています。

→ freee導入ガイドを見る

まずは「1つ」から始めましょう

このガイドを全部一度にやる必要はありません。今の自分の段階を確認し、まだ手をつけていない項目を1つ選んで動くことが大切です。