起業ガイド [法人編]
準備から開業後までを4ステップに整理しました。まずは全体像をつかみ、気になる項目は個別記事で深掘りしてください。 ご注意(2026年時点):制度・金額・期限は2026年(令和8年)時点の情報です。税制改正や手数料改定で変わることがあります。最新は所轄の税務署・法務局・お住まいの自治体等でご確認ください。
ステップ1 準備(会社のかたちを決める)
信用・資金調達なら株式会社、コスト・柔軟性なら合同会社が目安。設立費用は株式会社20〜25万円、合同会社6〜10万円程度です。
迷ったら「対外的な信用がどれだけ要るか」で考えると決めやすいです。
「株式会社」「合同会社」の文字が必要。同一住所での同一商号は使えません。
ドメインやSNSの空き状況もあわせて確認しておくと、後がラクです。
自宅・賃貸・バーチャルオフィスなどから選びます。所在地で管轄の役所が決まります。
賃貸は「事業利用OKか」を契約で必ず確認を。自宅は登記情報が公開される点に留意。
定款に書く会社の事業内容です。今の事業に加え、将来やる予定の事業も書いておけます。
後から増やすと定款変更(費用)がかかるので、想定される事業は最初に入れておくと安心です。
飲食・建設・古物・人材派遣など、業種によっては許認可や免許がないと開業できません。定款の事業目的の書き方にも関わります。
迷ったら、管轄の役所(保健所・警察署など)に電話で一度確認するのが確実です。
1円から設立できますが、信用・許認可・融資の面で極端な少額は不利。資本金1,000万円以上は第1期から消費税が課税です。
一般的には、当面の運転資金が回る範囲で1,000万円未満に置く新設法人が多いです。なお法人住民税の均等割(赤字でも年約7万円〜)も資本金等の額で増えます。
設立費用に加え、当面の運転資金(数か月分の固定費=役員報酬・社会保険料・家賃など)を見積もります。
一般的に、売上が安定するまで持ちこたえられる現金(半年分が目安)を用意しておくと安心です。不足なら日本政策金融公庫の創業融資も選択肢。
取締役1名でも設立可。代表者・出資者(発起人)を決めます。事業年度(決算月)も自由に設定できます。
決算月は繁忙期を外すのが定番。私見では、設立月の前月を決算月にすると初年度を長く使えます。複数人で出資する場合は持分比率が経営権に直結します。安易な50:50は意思決定が止まるリスクがあるため慎重に。
登記には会社実印が必要。銀行印・角印も用意しておくと、開業後の実務がスムーズです。
通販の「会社設立3点セット」を頼めば数日で揃います。
ステップ2 設立・届出(登記と各種手続き)
会社の基本ルールを定める書類。電子定款なら収入印紙4万円が不要です。
無料の会社設立支援サービス(freee会社設立など)を使うと電子定款を作りやすいです。
株式会社は公証役場での認証が必要(合同会社は不要)。手数料は資本金により1.5万〜5万円です。
区分や軽減要件は変わることがあるので、事前に公証役場へ一度確認を。
登記前は法人口座がないため、発起人個人の口座へ振り込み、通帳の写しで証明します。
記録が残るよう「入金」ではなく「振込」で行うのがポイントです。
法務局へ申請。申請日が設立日になります。登録免許税は資本金×0.7%(株式15万円・合同6万円が最低)。
設立日にこだわりがあれば、登記申請日を逆算して準備を進めましょう。
登記後に取れる登記事項証明書・印鑑証明書で口座を開設します。
審査に時間がかかることも。事業計画や会社HPがあると通りやすい傾向です。
法人口座とあわせて法人クレジットカードも作ると、経費の支払いを一本化できます。
クラウド会計に連携すれば、カードの利用明細から支出を自動で取り込め、入力の手間がぐっと減ります。
法人設立届(2か月以内)、青色申告承認申請(設立後3か月か第1期末の早い方の前日まで)などを提出。自治体にも設立届を出します。
freee会社設立を利用すると、設立手続きから必要な書類作成まで簡単に済ませられます。
個人事業から法人化した場合は、個人側の手続きも必要です。廃業届(1か月以内)や青色申告の取りやめ届出などを税務署へ。都道府県にも廃業の申告を出します。
在庫・車などの資産を会社へ引き継ぐ方法(売買・現物出資など)は税金に影響します。廃業する年の個人の確定申告も忘れずに。
ステップ3 役員報酬・消費税(設立直後に決める)
役員報酬を経費にするには毎月同額の「定期同額給与」が基本。3か月以内(設立1年目は設立日から3か月以内)に決議します。期中の変更は原則経費にできません。
一般的に、社会保険料と所得税の合計が軽くなるように試算して決めます。
法人は社長1人でも健康保険・厚生年金に強制加入。5日以内に年金事務所へ届け出ます。
役員報酬を決めると保険料が決まります。報酬の設計とセットで考えましょう。
給与を払うと源泉徴収義務が生じます。「給与支払事務所等の開設届出書」を1か月以内に税務署へ。
役員1人でも給与を払うなら必要。「納期の特例」も併せて出すと納付が年2回で済みます。
従業員を雇うと、労災保険(労基署)・雇用保険(ハローワーク)の手続きが必要です。
社長1人だけなら原則不要。最初の採用時に思い出せればOKです。
新設法人は原則2期は免税。ただし資本金1,000万円以上や特定新規設立法人は第1期から課税です。
自社が例外に当たるか不安なら、設立前に一度専門家へ確認すると安心です。
登録すると課税事業者になり免税メリットは失いますが、取引先が仕入税額控除に使える請求書を出せます。取引先がBtoB中心なら求められやすいです。
2割特例は法人では2026/9/30を含む事業年度まで。その後の3割特例は法人対象外です。試算のうえ専門家へ。
ステップ4 開業後ルーティン(続けるための仕組み)
法人は複式簿記が必要。クラウド会計(freee など)なら銀行・カード連携で自動仕訳できます。
最初に連携設定だけ済ませると、帳簿付けがぐっと楽になります。
会社の口座・カードから社長の私的な支払いをすると、帳簿に「役員貸付金」が積み上がります。役員貸付金は融資審査で大きなマイナスになり、会社は利息を取る必要も生じます。
生活費は役員報酬として受け取り、私的な支出は個人の財布から。これを設立初日から徹底するのが、法人1年目でいちばん大事な習慣です。
電子でやり取りした請求書・領収書は、電子データのまま保存するのが原則です(法人も対象)。
まずは「電子で来たものは消さずに保存」だけ徹底すればOKです。
帳簿書類は原則7年保存(欠損金が出た事業年度は最長10年)。
月1回フォルダにまとめる運用にすると、決算前に慌てません。
役員報酬・給与から源泉徴収して納付(納期の特例なら年2回)。年末には年末調整も行います。
人事労務ソフト(人事労務freee など)を使うと、計算から年末調整まで自動でラクになります。
法人税・地方税・消費税などを、決算日の翌日から原則2か月以内に申告・納付します。
申告は税理士に依頼するのが一般的。日々の記帳ができていれば費用も抑えられます。前期の法人税額が20万円を超えると、翌期は中間申告・納付(おおむね前期の半分)が年の途中で発生する点も頭に入れておきましょう。
「freee会社設立」などの無料サービスを使うと、定款や設立書類を質問に答えるだけで作成でき、電子定款にも対応します。設立後はそのままクラウド会計につなげば、記帳から決算までを一本化できます。当事務所はクラウド会計 freee の導入支援を得意としています。
→ freee導入ガイドを見るまずは「1つ」から始めましょう
会社設立は段取りが多く見えますが、4ステップに分ければ一つずつ進められます。今の段階の項目から動いてみてください。