個人事業主のiDeCo・節税策まとめ|使える制度と優先順位を公認会計士が解説

個人事業主が使える節税策を優先度順に解説。iDeCo・小規模企業共済・青色申告特別控除・経費化など、合法的に所得税・住民税を減らすための実践ガイドです。

節税の基本:所得を減らすか、控除を増やすか

節税の仕組みはシンプルです。

課税所得 = 収入 − 経費 − 各種控除

この「課税所得」を合法的に小さくするほど、所得税・住民税の負担が減ります。個人事業主が使える手段は大きく2種類あります。

  1. 経費を正しく計上する(業務に必要な支出を漏れなく経費化)
  2. 控除制度を最大限活用する(iDeCo・共済など)

この記事では、特に効果が大きい控除制度を優先度順に解説します。


優先度①:青色申告特別控除(最大65万円)

対象:青色申告を選択し、e-Taxで申告している個人事業主

最も確実で、手続きが少ない節税策です。すでに青色申告承認申請書を提出済みであれば、あとはクラウド会計で複式帳簿を管理し、e-Taxで申告するだけで65万円の控除が受けられます。

所得税率20%の場合、65万円の控除 → 年間約13万円の節税効果

これを活用していない方は、まずここから始めてください。


優先度②:小規模企業共済

対象:個人事業主・会社役員

中小企業基盤整備機構が運営する退職金積立制度。掛け金が全額所得控除になります。

項目内容
月額掛け金1,000円〜70,000円(年間最大84万円)
節税効果(所得税率20%の場合)年間最大約16.8万円の税負担軽減
受取時退職所得または共済金として受取(税負担が低い)
解約任意解約可(ただし元本割れリスクあり)

将来の退職金を積み立てながら、今の税負担も下げられる「一石二鳥」の制度です。利益が安定してきたら優先的に検討することをおすすめします。


優先度③:iDeCo(個人型確定拠出年金)

対象:20〜64歳の個人事業主(国民年金保険料を納めていることが条件)

掛け金が全額所得控除になり、運用益も非課税。老後の年金として受け取れます。

項目個人事業主の場合
月額上限68,000円(年間81.6万円)※国民年金基金との合算
節税効果(所得税率20%の場合)年間最大約16.3万円の税負担軽減
受取開始60歳以降
注意点60歳まで原則引き出し不可

小規模企業共済と違い、60歳まで引き出せないため、手元資金に余裕があることが前提です。運用商品の選択が必要ですが、元本確保型の定期預金タイプも選べます。


優先度④:国民健康保険料・国民年金の控除

対象:全個人事業主

支払った国民健康保険料・国民年金保険料は全額が社会保険料控除として所得から差し引けます。「節税策」というよりは「必ず申告すべき控除」です。

確定申告時に支払金額を正確に記入するだけでOK。国民年金は年末に届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を使います。


優先度⑤:ふるさと納税

対象:住民税を納めている個人事業主

自己負担2,000円で地域の特産品などの返礼品を受け取りながら、所得税・住民税の還付・控除が受けられます。

ワンストップ特例(確定申告不要の簡易手続き)は確定申告をしない給与所得者向けのため、個人事業主は確定申告でふるさと納税額を申告する必要があります。確定申告をすることが前提なら、手続きは一体化できます。

上限額は所得・家族構成によって異なります。各ふるさと納税サイトのシミュレーターで確認してください。


節税策の組み合わせ例

年間所得500万円の個人事業主の場合(概算):

節税策控除額節税効果(税率20%)
青色申告特別控除65万円約13万円
小規模企業共済(月5万円)60万円約12万円
iDeCo(月2万円)24万円約4.8万円
ふるさと納税〜約8万円(上限目安)約1.6万円
合計約157万円約31.4万円

すべて使えるとは限りませんが、組み合わせによって年間30万円以上の節税も現実的な数字です。


今日からやること

① 青色申告特別控除の適用を確認する 未提出の場合は青色申告承認申請書を今すぐ提出。翌年分から適用開始。

② 小規模企業共済の加入を検討する 中小機構のウェブサイトから資料請求・加入申し込みが可能。掛け金は1,000円からでも始められます。

③ iDeCoの口座開設を検討する 証券会社・銀行・信用金庫などで開設可能。商品ラインナップと手数料を比較してから決めましょう。


節税は「知っているかどうか」で大きく差が出ます。「自分の場合はどこから始めれば効果的か」というご相談も、お気軽にどうぞ。


本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。個別のご事情により取り扱いが異なる場合があります。詳細は税理士・公認会計士にご相談ください。