最低賃金1098円が確定|10月1日に重なる3つの変更と9月中の宿題
宮城県の最低賃金1,098円は、9月1日に正式決定しました。発効は10月1日。ただ、その日に効き始めるのは時給だけではありません。
10月1日は、決算期末に似た一日です。またいだ瞬間に処理のルールが変わり、あとから戻すのは難しい。9月前半のニュースを並べると、宿題の期限はどれも9月末に集まっています。
最低賃金は「答申」から「決定」へ
前回のまとめでは「答申は確定ではない」と線を引きました。その答え合わせです。宮城労働局は9月1日、宮城県最低賃金の改正決定を公表しました。時間額1,098円、発効は10月1日。8月5日の答申額がそのまま決定額になり、もう確定情報として扱えます(経緯は前回のまとめをご覧ください)。
厚生労働省が9月3日に公表した全国加重平均は1,177円(前年度1,121円から56円の引上げ)。47都道府県の引上げ額は54円〜65円、最高額1,280円・最低額1,085円です。
見落としやすいのが発効日です。厚労省は「令和8年10月1日から令和8年12月2日までの間に順次発効される予定」としており、全国一律ではありません。県外に事業場がある会社は、本社所在地ではなく事業場ごとに各労働局の発表で確認してください。「全社まとめて10月1日」とすると、県によって早すぎたり遅れたりします。
参考:宮城労働局 宮城県最低賃金の改正が決定しました/厚生労働省 令和8年度地域別最低賃金の改定額
10月1日に重なる3つの変更
同じ10月1日に、税務と労務の変更が重なります。免税事業者からの仕入れで控除できる割合が下がり、2割特例(納税額を売上にかかる消費税の2割で済ませられる特例)が終わり、短時間労働者の社会保険加入要件から賃金の基準が外れます。
| 変更点 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| インボイス経過措置 | 免税事業者からの仕入れの控除割合が 80%→70% | 免税事業者と取引のある課税事業者 |
| 2割特例の終了 | 対象は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」。個人は令和8年分が最後 | 登録を機に課税事業者になった方 |
| 社会保険の賃金要件 | 月8.8万円の要件を撤廃予定(週20時間以上などの他要件は継続) | 被保険者51人以上の企業(令和9年10月から36人以上、令和11年10月から21人以上へ順次拡大) |
実務で事故が起きやすいのは締め日のまたぎです。80%と70%の分かれ目は請求書の日付ではなく、課税仕入れを行った時期で判断します(国税庁インボイスQ&A 問113-3)。商品は引渡しのあった日、役務提供は約した役務の全部が完了した日が基準で、決算月による違いはありません。9月納品・10月請求なら請求書が10月でも80%側、逆に9月に始まって10月に完了する業務委託や保守は、完了日で判断するため全体が70%側です。月をまたぐ継続取引は、締め日ではなく完了日で分けてください。
なお、同じ改正で新設された「同一の免税事業者からの課税仕入れが年1億円(改正前10億円)を超える部分は経過措置の対象外」というルールのほうは、令和8年10月1日以後に開始する課税期間からの適用です。こちらは課税期間単位なので、控除割合の判定と混同しないでください(改正全体は令和8年度インボイス制度改正のポイントで整理しています)。
もうひとつ、「2割特例が終わるから簡易課税の届出を9月中に」という話。これは全員には当てはまりません。原則の期限は適用したい課税期間の開始日の前日です。つまり9月30日が期限になるのは、次の期が10月1日から始まる9月決算法人(課税期間を短縮している事業者を含みます)。10月決算法人は10月31日、12月決算法人と個人事業主は12月31日です。さらに国税庁は、2割特例を適用した期の翌課税期間なら、その期の申告期限までに届出書を出せば簡易課税を適用できるとしています。直前の課税期間に2割特例を適用した方は申告書を作りながら判断でき、急ぐ必要があるのは2割特例を使っていなかった事業者のほうです。
参考:国税庁 令和8年度税制改正特集(インボイス関連)/国税庁 インボイスQ&A 問113(PDF)/国税庁 2割特例の概要/日本年金機構 短時間労働者への適用拡大
金利は9月も上がった
日本政策金融公庫(国民生活事業)の貸付利率が9月1日に改定されました。令和8年9月1日現在の基準利率は、税務申告を2期終えている方で無担保3.80〜5.40%、有担保2.80〜5.00%。前回まとめの8月3日時点(無担保3.60〜5.30%)から1か月で0.20ポイントの上昇です。
0.20%でも、借入残高1,000万円なら単純計算で年2万円の利息増(残高一定で1年分、保証料などは別)。利率は随時改定されるため、申し込む前に公式ページで当日の数値を確認してください。
秋の補助金は日程が動いている
補助金は、締切そのものより日程が動くことが事故のもとです。9月時点の公式日程を並べます。
| 制度 | 受付・締切 |
|---|---|
| 中小企業省力化投資補助金(一般型)第8回 | 申請受付 2026年9月18日(金)〜/締切 10月16日(金)17:00/採択発表 2027年2月上旬(予定) |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 | 応募締切 令和8年10月30日(金)18:00厳守(公式サイトに9月30日の表記も残るため、申請前に最新の公募要領で確認) |
| 事業承継・M&A補助金 十六次公募 | 公募要領 9月4日公表/申請受付 令和8年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00(予定) |
新事業進出・ものづくり補助金の第1回は、当初9月30日だった締切が10月30日18時に動きました(令和8年度の補助金まとめでも変更後の日程で掲載しています)。1か月延びたぶん準備できると考えるか、競合の申請も増えると考えるかは判断が分かれるところです。
いずれも電子申請のみで、GビズIDプライムアカウントが必要です。取得に2〜3週間かかることがあり、10月2日受付開始の事業承継・M&A補助金を狙うなら今週が実質の分岐点です。
参考:中小企業省力化投資補助金(一般型)スケジュール/新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募スケジュール/ミラサポplus 事業承継・M&A補助金(十六次公募)
9月中に終えること
締め日をまたいでから慌てても戻せません。9月末までの宿題を順番に並べます。
- 時給表を書き換える。宮城は10月1日発効で1,098円。県外に事業場があれば、その県の発効日を各労働局の発表で確認する
- 締め日をまたぐ取引を洗い出す。免税事業者への外注・仕入れを、引渡日・完了日がどちらの月かで80%と70%に分ける方針を経理担当と決めておく
- 来期の消費税の計算方法を決める。9月決算法人で直前の課税期間に2割特例を使っていなかったなら、簡易課税の届出期限は9月30日。それ以外の決算月は期限が先だが、有利判定は早く始めるほど安全
- 被保険者数を数える。51人以上なら、週20時間以上のパート・アルバイトを一覧化し、10月から加入対象になる方への説明を9月中に済ませる
- GビズIDプライムを確認する。秋の補助金に出すなら、アカウントの有無を今週中に確認しておく
10月1日は、決算期末と同じで「その日が来れば自動的に切り替わる」日です。切り替わってから帳簿を戻す作業は、何倍も手間がかかります。カレンダーの9月30日に線を引いて、そこから逆算してください。