決算月の決め方|3月にしなくていい理由と判断軸3つ・第1期の長さ
「決算は3月ですよね?」——設立相談でよく聞かれますが、決算月は12個の選択肢から自由に選べます。そして最初の選び方で、第1期の長さも納税のタイミングも変わります。定款(会社の基本ルールを定めた書類)に事業年度を書く前の、5分で読める要点だけをまとめます。
前提:決算月は自由。3月である必要はない
- 事業年度は定款などで定める会計の区切りで、1年以内なら自由に設定できます(1年を超える定めをしても、法人税の計算上は1年ごとに区切られます)。
- 3月決算が多いのは、官公庁の年度や上場企業の慣行に合わせたもの。取引先や業界の事情がない限り、中小企業が合わせる理由はありません。
なお、これから会社の形(株式会社か合同会社か)を決める段階の方は、株式会社と合同会社の選び方もあわせてどうぞ。
判断軸は3つ
- 繁忙期を外す:決算月の前後は棚卸・請求書の整理・申告準備が集中します。本業の繁忙期と重なると、どちらも中途半端になります。
- 売上のピークを期首側に置く:期末直前に大きな売上が立つと、利益の着地が読めず打ち手が間に合いません。ピークが期首側にあれば、残りの期間で利益予測と対策ができます。
- 納税月の資金繰り:法人税などの申告・納税は原則決算日の翌日から2か月以内。その月に手元資金が薄くなる時期を決算にすると、納税が重くのしかかります。
3つが両立しないときにどれを優先するかは、業種や資金状況によるケースバイケースです。「絶対にこの月がいい」という正解はありません。
設立月との関係:前月を決算月にすると第1期が最長
第1期は設立日から始まります。決算月を設立月の前月(の末日)にすると、第1期が約12か月で最長になります。
- 2026年7月設立 → 6月末決算:第1期は2027年6月末まで、約12か月
- 2026年7月設立 → 8月末決算:第1期は2026年8月末まで、1〜2か月ほど。設立の慌ただしさの中で、すぐ決算・申告がやってきます
第1期を長くすると「消費税の免税期間を最大限使える」とよく言われますが、注意が必要です。設立1期目・2期目が免税になるのは資本金1,000万円未満などの要件を満たす場合の話で、設立から最初の6か月(特定期間)の課税売上高(消費税がかかる売上)が1,000万円を超えると2期目から課税になる例外もあります(給与支払額での判定も可)。さらに、インボイス発行事業者として登録するなら登録後は免税になりません。免税ありきで決めないのが安全です。
後から変えられる。でも「なんとなく3月」は避けたい
決算月は設立後でも変更できます。株主総会で定款変更を決議し、税務署・都道府県・市区町村へ異動届を出すだけで、事業年度は登記事項ではないため法務局での変更登記は不要です。とはいえ議事録の作成や届出の手間はかかるので、最初に少し考えておく価値があります。
正直に言うと、向かない決め方は「なんとなく3月」です。3月決算の申告時期は税理士業界の繁忙期と重なるため、じっくり相談しにくく、決算料も高くなりがち。こだわりがなければ、あえて3月を外すのも一つの手です。
まとめ
決算月を決めて設立したら、次は税務署などへの届出です。全体像は会社設立後の届出チェックリストにまとめています。
参考情報
- 国税庁「法人税のあらまし」(事業年度の考え方) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2025/pdf/01.pdf
- 国税庁「C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告(法人税申告書別表等)」(提出期限) https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/01.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.6531「新規開業又は法人の新規設立のとき」(消費税の免税) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6531.htm
- 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」(事業年度変更時の届出) https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_5.htm
本記事は2026年7月時点の一般的な情報です。要件・手続きは変わる場合があるため、最新は国税庁でご確認ください。