freee人事労務の初期設定と毎月の給与計算フロー|年間の変わり目まで

毎月の給与計算を「勤怠を確認して、確定ボタンを押す」だけの作業にすることは、最初の設定さえ丁寧にすれば実現できます。freee人事労務は、社会保険料や源泉所得税などの控除を自動で計算し、確定した給与をfreee会計に連携する仕組みだからです。この記事では、初期設定で決めること、毎月の流れ、そして控除額が変わる月を整理します。

結論:ダイヤを組み、ダイヤどおりに走らせる

給与計算は、電車の時刻表(ダイヤ)にたとえると全体像がつかみやすくなります。

最初にダイヤを組む締め日・支払日、従業員ごとの給与や保険の情報を登録する(初期設定)
毎月はダイヤどおり勤怠を締めて、計算結果を確認し、確定して支払う(毎月の給与計算)
年に数回ダイヤ改正保険料率や住民税、標準報酬月額が切り替わる月だけ、設定を見直す

ダイヤが正しく組まれていれば、電車は毎日同じように走ります。給与計算も同じで、手間がかかるのは最初とダイヤ改正の月だけです。逆に、最初のダイヤが間違っていると、毎月同じ誤りが静かにくり返されます。

初期設定:最初にダイヤを組む

freee人事労務は、大きく「基本設定」「毎月の給与計算」「年末調整」の順に使います。最初の基本設定で、次の4つを登録します。

設定するもの 主な内容 間違えると起きること
給与規定 締め日と支払日、給与の計算方法の基本ルール すべての従業員の支給日・計算期間がずれる
従業員情報 基本給・手当、扶養の人数、通勤手当 所得税の額や手取りが毎月ずれる
社会保険の情報 標準報酬月額、加入している保険 社会保険料の控除額がずれる
住民税 市区町村から届く通知書の月額 住民税の控除額がずれる

締め日と支払日を決める

給与規定でまず決めるのが、締め日と支払日です。たとえば「月末締め・翌月15日払い」なら、当月1日から末日までの給与を計算し、翌月15日に支払います。freeeでは締め日と支払日の組み合わせを複数作れるため、役員と従業員、正社員とアルバイトで支給日が違う場合にも対応できます。

数字は「計算」ではなく「転記」するものがある

見落とされやすいのが、自分で計算するのではなく、届いた書類から転記する数字があることです。

  • 標準報酬月額:社会保険料の計算のもとになる金額。入社時や毎年の見直しで決まった金額を登録します
  • 住民税の月額:市区町村から届く特別徴収税額の通知書に書かれた金額をそのまま入れます。住民税は会社が計算するものではありません
初期設定は、1か月目の給与明細を、手計算やこれまでの明細と突き合わせて確認するところまでが一区切りです。1か月目で合っていれば、2か月目以降も同じ設定で正しく回ります。ここを省くと、誤りに気づくのが年末調整や社会保険の調査のときになります。

毎月の給与計算:ダイヤどおりに走らせる

設定が終われば、毎月の作業は次の流れになります。

1
勤怠を締める締め日が来たら、その月の出勤日数や残業時間を確定させます。freee人事労務の勤怠機能を使っていれば、打刻のデータがそのまま給与計算に使われます。
2
計算結果を確認する社会保険料・雇用保険料・源泉所得税・住民税が自動で計算されます。前月と比べて大きく変わった人がいないかだけを見れば、確認は短く済みます。
3
給与を確定する内容に問題がなければ確定します。確定した給与明細は、Web上で従業員に交付できます(スマホやLINEで確認できる設定もあります)。
4
振込をする振込用のデータ(一括振込ファイル)を作成し、ネットバンキングに取り込んで支払います。振込の手続きそのものは、自社で行います。
5
会計に連携し、税金を納めるfreee会計を使っていれば、給与の確定にあわせて取引情報を連携できます。預かった源泉所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。

源泉所得税には納期の特例があり、給与を支払う人が常時10人未満の会社は、承認を受ければ年2回(1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日)にまとめて納付できます。毎月の納付の手間を減らしたい場合は検討してください。

毎月同じではない月:年間のダイヤ改正

給与計算でつまずきやすいのは、設定を変えていないのに、控除額が変わる月です。従業員から「今月、手取りが減ったのはなぜですか」と聞かれたときに答えられるよう、変わり目を把握しておきます。

時期 何が変わるか 給与で確認すること
3月分の保険料から(4月納付分) 協会けんぽの健康保険料率が年度ごとに見直される 新しい料率で計算されているか
4月〜 雇用保険料率も年度ごとに見直される 同上
2026年4月分から 子ども・子育て支援金の徴収が開始(協会けんぽは0.23%) 会社員などは5月の給与から天引きが始まっている
6月 住民税の特別徴収額が切り替わる(6月から翌年5月までの12回) 新しい通知書の月額に入れ替えたか
6月1日〜7月10日 労働保険の年度更新 前年度に支払った賃金の総額を集計して申告する
7月1日〜7月10日 算定基礎届(4〜6月の報酬を届け出る) 決まった標準報酬月額が9月分から適用され、控除額が変わる
11月〜1月 年末調整 令和8年分は基礎控除などの改正も精算の対象

保険料率などの改定は、クラウド型の給与ソフトでは基本的に自動で反映されます。ただし、自動で反映されたかどうかを、改定月の給与明細で一度確認する習慣はつけておいてください。住民税の月額や標準報酬月額のように、届いた書類から自分で入れ替える必要がある数字もあるためです。

とくに注意したいのが6月の住民税と9月分からの標準報酬月額です。どちらも「会社の外で決まった金額を、給与の設定に反映させる」作業で、ソフトが自動でやってくれるとは限りません。6月と9月(翌月控除の会社では10月の給与)は、ダイヤ改正の月として予定に入れておくと安心です。

年末調整もfreee人事労務で

年末調整では、従業員がスマホで控除の申告に回答し、管理者は内容の不備をチェックする流れになります。紙の申告書を配って回収し、手で計算する方式に比べ、11月から12月の負担が大きく変わります。

毎月の給与計算を同じソフトで回していれば、1年分のデータがそろった状態から始められます。

運用のコツ

1. 変わった人だけを見る

毎月全員の明細を細かく見る必要はありません。前月と比べて金額が大きく変わった人を確認し、理由が説明できれば十分です。

2. 入社・退職・扶養の変更はその月のうちに入れる

従業員の情報が変わったのに設定が古いままだと、控除額がずれ続けます。社会保険や雇用保険の手続きとあわせて、給与の設定も更新してください。

3. 給与の仕訳は手で入れない

freee会計と連携していれば、給与の仕訳を手で入力する必要はありません。連携と手入力を混ぜると二重計上の原因になるため、どちらか一方に統一してください。

まとめ

freee人事労務の給与計算は、最初にダイヤを組み、毎月はダイヤどおりに走らせ、年に数回だけダイヤ改正をする仕組みです。初期設定では締め日・支払日と、従業員ごとの給与・保険・住民税の情報を正しく登録し、1か月目の明細で答え合わせをすること。そうすれば、毎月の作業は勤怠を締めて確定するだけになります。

注意したいのは、設定を変えていないのに控除額が変わる月です。この変わり目を知っていれば、従業員から手取りについて聞かれても慌てずに説明できます。

給与計算の基本的な考え方は「はじめての給与計算」に、従業員を雇うときの届出は「はじめて従業員を雇うときの手続き」に、freee導入全体の流れは「freee導入ガイド」にまとめています。

参考情報

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