日銀1.25%へ利上げ|借入金利に届く11月2日までの準備(9月後半まとめ)
9月18日、日銀が政策金利を1.25%程度に引き上げました。ただ、それがあなたの返済額に届くのは、もう少し先です。
前回は10月1日を「決算期末に似た一日」と書きました(9月前半のまとめ)。その日は過ぎ、次の締め日は11月2日です。三菱UFJ銀行などの短期プライムレート(銀行が短期の融資で使う基準金利)がこの日に上がり、利上げが借入の金利に乗り始めます。
日銀が1.25%へ利上げ(9月18日決定・9月24日適用)
日本銀行は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート(銀行同士が翌日まで資金を貸し借りする金利)の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。適用は9月24日から。6月以来の利上げです。
決定は賛成7・反対2で、2人の委員が据え置きや利上げのタイミングを理由に反対しました。それでも公表文は、経済・物価・金融情勢に応じて「引き続き政策金利を引き上げ」ていく考えを示しています。
次の利上げの時期は決まっていません(時期の予想は市場の観測です)。
参考:日本銀行 金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日・PDF)
利上げは時間差で借入に届く
金利を川の水位にたとえるなら、日銀が上げたのは上流の水位です。下流の自社の取水口に届くまでには時間差があります。
| 時期 | 動いたもの | 中身 |
|---|---|---|
| 9月24日 | 日銀の政策金利 | 1.0%程度→1.25%程度 |
| 10月1日 | 日本政策金融公庫(国民生活事業)の基準利率 | 無担保3.80〜5.40%(9月1日時点)→4.05〜5.65%(税務申告2期終了の場合) |
| 11月2日 | 短期プライムレート | 三菱UFJ銀行 2.375%→2.625% 七十七銀行 2.875%→3.125% |
| 11月9日 | 短期プライムレート | 三井住友銀行 2.375%→2.625% |
三井住友銀行は新規の取組と利息の支払い等に、七十七銀行は新規実行・書替・利息支払日等から、新利率を適用します。短プラ連動の借入は、改定日のあとに来る利払日や書替えを境に切り替わるのが一般的です。早ければ11月の利払いからと見込んでおきましょう。残高1,000万円で+0.25%なら、単純計算で年2.5万円の増加です。
日銀短観(9月調査)の公表は10月1日ですが、回答期間は8月26日〜9月30日で、9月の実感を裏付けます。中小企業の借入金利水準判断DI(金利が「上昇」と答えた割合から「低下」の割合を引いた値)は61→70に上がりました。大企業(59→65)より上げ幅が大きい結果です。一方、中小企業向けの貸出態度判断DIは12で横ばい。銀行はまだ貸す姿勢を保っています。
実務で多いのは「自社の借入が何に連動しているか分からない」というケースです。返済予定表には適用金利しか載っていないことが多く、連動先は金銭消費貸借契約書(借入の契約書)の金利条項を見て初めて分かります。切り替わる時期も同じ条項に書いてあります。
参考:日本政策金融公庫 金利情報(国民生活事業)/日本銀行 短観(概要)2026年9月(PDF)
10月1日に始まったこと
- 社会保険の賃金要件の撤廃:日本年金機構は10月1日、短時間労働者の「月8.8万円以上」の要件が撤廃されたと告知しました。対象は被保険者51人以上の企業で、週20時間以上などの要件は残ります。令和9年10月には36人以上の企業へ広がる予定です。
- カスハラ対策の義務化:顧客や取引先などからの、社会通念上許容される範囲を超えた言動(カスタマーハラスメント)から従業員を守る措置が、業種・規模に関わらず、従業員を雇うすべての事業主の義務になりました。厚労省の指針が求めるのは、①従業員を守る方針と対処の内容を決めて周知、②相談窓口の設置、③発生時の事実確認・被害者への配慮・再発防止、④特に悪質なケースへの対処方針と体制、⑤相談者のプライバシー保護と不利益な扱いをしない旨の周知、の5つです。求職者へのセクハラ防止措置も同時に義務化されました。
- 国民年金の育児期間免除:自営業者・フリーランスなど国民年金の第1号被保険者で、1歳未満の子を養育する父母の保険料が免除されるようになりました。所得要件はなく、免除期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の額に反映されます。届出は市区町村の窓口かマイナポータルから(日本年金機構 国民年金保険料の育児免除制度)。
参考:日本年金機構 賃金要件撤廃のお知らせ/日本年金機構 適用拡大/厚生労働省 カスタマーハラスメント防止指針(PDF)/厚労省 改正法特設ページ
補助金の申請窓口が開いた
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回):9月30日18時に受付開始、締切10月30日(金)18:00厳守
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)第8回:9月18日受付開始、締切10月16日(金)17:00
- 事業承継・M&A補助金(十六次):10月2日に受付開始、締切11月6日(金)17:00(公式サイト)
ものづくり系は締切が延びても、入力できる期間は実質1か月です。
参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金/中小企業省力化投資補助金(一般型)スケジュール/事業承継・M&A補助金 十六次公募要領(申請受付期間)
11月2日までにやること
利息は、請求が届いてから驚いても減りません。届く前に数字を出しておきましょう。
- 借入一覧を作る。借入先・残高・固定か変動か・基準金利・次の利払日を1枚に。連動先は契約書で確認する
- 利息の増加を試算する。変動金利の残高×0.25%に加え、もう一段上がった場合(+0.5%)も並べておく
- 借入予定があれば早めに動く。銀行の貸出姿勢はまだ緩やかです。条件の比較は早めに(考え方は資金調達ガイドで整理しています)
- 10月1日開始分を点検する。51人以上なら加入漏れ、従業員がいれば規模を問わずカスハラの方針と相談窓口
- 補助金の締切を確認する。省力化は10月16日、ものづくり系は10月30日、事業承継・M&Aは11月6日
10月1日は「ルールが切り替わる日」、11月2日は「利上げが借入の金利に乗り始める日」です。