融資に通る創業計画書の書き方|審査担当者の3つの問いに答える
創業計画書は、まだ実績のない自分を「この人になら貸せる」と信じてもらえる、最初のチャンスです。書き方が難しそうに見えても、審査担当者が見ているポイントさえ押さえれば、書くべきことは自然と決まります。この記事では、その”見られ方”から逆算した書き方を整理します。
まず結論:創業計画書は「3つの問い」に答える書類
創業計画書は、初対面の相手にお金を貸してもらうための「自己紹介書」だと考えてください。相手(融資担当者)はあなたの実績をまだ知りません。だからこそ、相手が抱く不安に、順番に答えていく必要があります。
融資担当者の頭にあるのは、突きつめると次の3つの問いだけです。
- ① この人は事業を続けられるか?(準備と経験)
- ② その事業は本当に売れるのか?(強みと売上の根拠)
- ③ 貸したお金はちゃんと返ってくるか?(資金の使い道と返済)
公庫の創業計画書には8つの欄がありますが、どの欄も、結局はこの3つのどれかに答えるためにあります。欄を埋める作業ではなく、「3つの問いに証拠で答える」と考えると、書く内容が見えてきます。
8つの欄は「3つの問い」に整理できる
公庫の創業計画書の各欄を、3つの問いに割り当てると次のようになります。
| 審査担当者の問い | 対応する欄 | ここで示すこと |
|---|---|---|
| ① 続けられるか | 創業の動機/経営者の略歴/従業員 | 準備してきた経緯と経験。思いつきの開業でないこと |
| ② 本当に売れるか | 取扱商品・サービス/取引先・取引関係/事業の見通し | 他社に負けない強みと、売上の数字の根拠 |
| ③ ちゃんと返せるか | 必要な資金と調達方法/お借入の状況 | 資金の使い道の明確さと、返済できる裏づけ |
以下、問いごとに書き方のコツを見ていきます。
① 「続けられるか」に答える——準備と経験を示す
創業の動機と経営者の略歴は、人柄と本気度が見られる欄です。ここでのポイントは、「思いつきではなく、準備してきた」と伝わること。
- 創業の動機は、感情論だけでなく「この分野で◯年働き、こういう課題に気づいた」と経験に紐づけて書く
- 経営者の略歴は、これから始める事業と関係する職歴・実績を具体的に(担当業務・役職・売上規模など)
- 未経験の分野なら、その弱点をどう補うか(共同経営者・仕入先・研修など)まで書くと、かえって信頼されます
② 「本当に売れるか」に答える——強みと売上の根拠
ここが計画書の心臓部です。取扱商品・サービスでは「誰に・何を・なぜ選ばれるか」を、事業の見通しでは「その結果いくら売れるか」を、数字で裏づけます。
いちばん差がつくのが売上の根拠です。「月◯◯万円売れます」だけでは通りません。売上を要素に分解して、担当者が電卓で追える形にします。
席数・回転率から「40人」の妥当性まで示せると、説得力が一段上がります。
「誰に・何を・いくらで売るか」がまだ固まっていない場合は、先にそこを固めるのが近道です(→ ビジネスモデルと価格設定のガイド)。
③ 「ちゃんと返せるか」に答える——資金の使い道と返済
必要な資金と調達方法では、「何にいくら使い、そのお金をどこから持ってくるか」の左右をぴったり合わせます。設備資金(内装・機械など)と運転資金(仕入・家賃など)に分け、見積書の金額と一致させます。公庫は「借りたお金を使い道どおりに使うか」を重視します。
そして、多くの人が逆に考えてしまうのが借入額です。
必要額の考え方(自己資金・固定費の備え)は、開業資金と運転資金の計画もあわせてご覧ください。
よくある失敗
- 売上が「希望」になっていて、客数×単価×日数の根拠がない
- 資金の使い道の合計と、調達額(自己資金+借入)が一致していない
- 見積書・許認可など、計画書の数字を裏づける書類が揃っていない
- 経費に自分の生活費(役員報酬・専従者給与)を入れ忘れ、利益が過大になっている
まとめ
創業計画書は、うまく書く技術より、「続けられる?売れる?返せる?」の3つに、数字と事実で答えられているかで決まります。特に売上の根拠と返済計画は、担当者が自分で計算して納得できる形にしておきましょう。書き上げたら、地元の商工会議所や公庫の窓口で一度見てもらうと、通りやすさが変わります。どの制度に申し込むか迷っている方は、創業融資はどこで借りる?もあわせてどうぞ。
参考情報
- 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(創業計画書・記入例)」 https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html