研究開発費の会計・税務の処理方法を解説

研究開発費は会計上は原則費用処理ですが、税務上は基礎・応用・工業化研究の区分ごとに処理が異なります。仕訳例と研究開発税制の活用ポイントまでまとめて整理します。

新製品・新技術の開発にかかる費用、いわゆる「研究開発費」は、会計上と税務上で処理方法が異なる代表的な項目です。

処理を誤ると、税務調査で否認されたり、研究開発税制の適用機会を逃したりするリスクがあります。

この記事では、研究開発費の基本から会計・税務処理の違い、freeeでの仕訳例までを整理します。

記事の要約

  • 研究開発費は、目的や成果の性質により「費用計上」「資産計上」など処理が異なる
  • 税務上は「資産計上」になるケースも多く注意が必要
  • 研究開発税制が利用できる場合は、税金の控除が受けられる

研究開発費とは

研究開発費とは、新製品・新技術の開発、既存製品の改良、あるいは新しいサービス開発に伴う費用をいいます。具体例には以下が含まれます。

費用の種類内容の例
人件費研究開発に関わる従業員の給与・手当
原材料費試作のために使用した材料費
外注費委託開発・技術検証費用
設備費試験研究用の機械購入費
消耗品費研究用の器具・工具類の購入

会計上は「研究開発費」、税務上は「試験研究費」と呼ばれ、処理方法が異なるため注意が必要です。

会計処理

  • 研究開発費は、原則として発生時に一括費用処理します(発生主義)。
  • 「一般管理費」として処理するのが基本ですが、製造現場で行われる場合や他の原価と合算する場合は「当期製造費用」として処理することも可能です。
  • 研究開発目的の固定資産や試作品は、会計上は原則費用処理ですが、資産性が高い場合(販売可能だったり自社利用可能なケース)は資産計上も認められる場合があります。

税務上の取り扱い

  • 基礎研究・応用研究は「一般管理費(期間費用)」として費用処理します。工業化研究は「製造原価」(資産計上→売上原価)となります。
    • 基礎研究:新しい知識や原理の発見を目的とした調査・探究
    • 応用研究:基礎研究の成果を実用化に向けて応用する研究
    • 工業化研究:応用研究の成果をもとに、実際に製品化・量産化するための具体的な研究・開発
  • 試験研究用固定資産や試作品、自社利用ソフトウェアは、税務上は原則資産計上し、減価償却の対象となります。
  • 試験研究用固定資産は、通常の減価償却資産に比べて短い耐用年数が適用される(機械装置であれば、4年)。
  • 研究開発税制(税額控除)があり、一定要件を満たせば法人税額から控除可能です(一般試験研究費、中小企業技術基盤強化税制、特別試験研究費など)。

会計処理と税務処理の違いまとめ

区分会計税務
基礎研究・応用研究発生時に「一般管理費(期間費用)」として費用処理会計と同じ
工業化研究発生時に「一般管理費(期間費用)」として費用処理「製造原価」として資産計上。販売時点で売上原価に振替え、損金算入
研究開発用材料等研究開発活動で使用した時点で費用処理基礎・応用研究用は費用処理、工業化研究用は「原材料」として資産計上
試作品発生時に研究開発費として費用処理(例外的に資産性が明確な場合のみ資産計上可)固定資産としての機能を有する場合や外部販売可能なものは「有形固定資産」または「棚卸資産」として資産計上
研究開発目的の固定資産取得取得時に費用処理(例外的に資産性が明確な場合のみ資産計上可)「有形固定資産」として資産計上し、減価償却
自社利用ソフトウェア研究段階は費用処理、将来の収益獲得または費用削減が確実となった段階で資産計上原則「無形固定資産」として資産計上

会計freee活用例

応用研究として研究開発委託費用 50万円を普通預金から支払

  • 借方:研究開発費 500,000円 / 貸方:普通預金 500,000円

研究開発委託費用 50万円を前払いし、後日検収した(期を跨ぐケースは注意)

  • (前払時)借方:前渡金 500,000円 / 貸方:普通預金 500,000円
  • (検収時)借方:研究開発費 500,000円 / 貸方:前渡金 500,000円

貸出目的で試作品を50万円で製造し、外部に貸し出した

  • (支出時)借方:建設仮勘定 500,000円 / 貸方:普通預金 500,000円
  • (完成時)借方:機械装置 500,000円 / 貸方:建設仮勘定 500,000円
  • ヒント:製造原価の集計は「メモタグ」に「試作機No1」など設定すると管理が楽

研究用機械を50万円で購入した(税務基準で処理した場合)

  • 借方:機械装置 500,000円 / 貸方:普通預金 500,000円

まとめ:今日からできる行動

  1. まずは「研究開発費」の定義と対象範囲を理解し、自社活動が該当するかを確認しましょう
  2. freeeでの仕訳ルールを社内マニュアルに取り入れ、適切に処理しましょう
  3. 税額控除制度の適用条件をチェックし、自社で適用可能かどうか確認しましょう