ひとり社長の社会保険|加入義務・保険料の金額感・5日以内の手続き
設立登記が終わってひと息——でも、年金事務所への届出の期限は「事実発生から5日以内」。実はもうカウントが始まっています。ひとり社長の社会保険について、「自分1人でも入るの?」「いくら?」「いつまでに?」の3つだけを短く整理します。
要点:社長1人でも「強制加入」
- 法人は、社長1人・従業員ゼロでも健康保険・厚生年金の強制適用です。入るかどうかを選ぶ余地はありません。
- ただし役員報酬が0円(無報酬)の場合は、実務上、被保険者になれない取扱いです(保険料を差し引く報酬がないため。国保・国民年金のまま)。
- 保険料は役員報酬(標準報酬月額)で決まり、会社と本人で折半。ひとり会社では会社負担分も実質自分の会社の財布から出ます。
- 国保・国民年金より負担は重くなりがちですが、将来の年金が基礎年金+厚生年金の2階建てになり、傷病手当金・出産手当金など保障も手厚くなります。
保険料は所得などに応じて本人が全額負担
年金は基礎年金のみ・傷病手当金は原則なし
保険料は役員報酬に応じて労使折半
年金は基礎+厚生の2階建て・傷病手当金あり
どちらが「得」かは、報酬額・年齢・家族構成で変わります。コストだけ見れば法人化で重くなるケースが多い一方、保障は確実に厚くなる——両面を知ったうえで役員報酬を設計するのが現実的です。
金額感:役員報酬月30万円なら、会社全体で月およそ8.5万〜9万円
保険料は「標準報酬月額 × 保険料率」。令和8年度・協会けんぽ(東京都)の料率は、健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%、介護保険(40〜64歳のみ)1.62%、厚生年金は全国一律18.3%です。役員報酬が月30万円(標準報酬月額30万円)の場合の労使合計は次のとおりです。
| 社長の年齢 | 健康保険(支援金・介護込み) | 厚生年金 | 合計(労使計) | うち本人負担 |
|---|---|---|---|---|
| 40歳未満 | 約3.0万円 | 約5.5万円 | 月およそ8.5万円 | 約4.3万円 |
| 40〜64歳 | 約3.5万円 | 約5.5万円 | 月およそ9.0万円 | 約4.5万円 |
年間ではおよそ100万円強。健康保険料率は都道府県ごとに異なり、毎年改定されるため、あくまで「およそ」の目安です。実務でよくあるのは、役員報酬を決めるとき手取りと法人税だけ見て、この負担を忘れているケース。報酬月額のおよそ3割が会社全体から出ていく前提で資金繰りを組んでください。
5日以内に出す書類は3点
提出期限は、会社設立や報酬の支払い開始といった事実発生から5日以内。管轄の年金事務所(事務センター)へ、窓口・郵送のほか電子申請(e-Gov等)でも提出できます。
なお、届出が遅れても加入義務が消えるわけではなく、資格は事実発生日にさかのぼります。放置せず、気づいた時点で早めに手続きしましょう。
まとめ
役員報酬そのものの決め方は、役員報酬の決め方ガイドを、税務署への届出も含む設立後の手続き全体は、会社設立後の届出チェックリストをあわせてご覧ください。
参考情報
- 日本年金機構「適用事業所と被保険者」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html
- 日本年金機構「新規適用の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150311.html
- 日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150422.html
- 日本年金機構「厚生年金保険料額表」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/index.html
- 協会けんぽ「令和8年度の保険料率」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08/index.html
本記事は2026年7月時点の一般的な情報です。保険料率・要件は変わる場合があるため、最新は日本年金機構・協会けんぽでご確認ください。