上半期倒産5,335件・補助金の名称改編・最賃目安|今週のニュース

2026年上半期の企業倒産は5,335件。人手不足による倒産と物価高による倒産が、いずれも過去最多を更新しました。数字だけ見ると不安になりますが、大事なのは「自社が同じ要因を抱えていないか」を点検することです。今週の3本のニュースと、期限が迫るインボイスのリマインドを、確定していることと未確定を分けて整理します。

① 上半期の倒産が5,335件、人手不足・物価高が過去最多

帝国データバンク(TDB)の集計によると、2026年上半期(1〜6月)の全国企業倒産は5,335件で、前年同期(5,003件)から6.6%増えました。前年を上回るのは4年連続で、上半期としては2年連続で5,000件を超えています。

注目は倒産の「理由」です。人手が集まらず事業が続けられなくなった「人手不足倒産」は227件(前年同期202件、12.4%増)で、上半期として過去最多を更新。仕入れやエネルギーの値上がりが引き金となった「物価高倒産」は556件(前年同期449件、23.8%増)で、集計開始以来はじめて半期で500件を超え、こちらも過去最多を大幅に更新しました。どちらも業種別では建設業が最も多くなっています。

倒産件数は集計機関によって基準が異なり、数字が一致しないことがあります(本記事はTDBの集計値です)。ですので「何件だったか」よりも、経営者にとっての「だから何」を押さえてください。過去最多を更新した2つの要因は、いずれもコスト(人件費・仕入れ)が上がっているのに、それを売値に反映できていない企業から順に体力を奪う、という構図です。裏を返せば、点検すべきは次の2点に絞られます。

  • 値上がりした仕入れ・人件費を、価格転嫁(値上げ)できているか
  • 人手不足への手当て(採用・定着・省力化投資)に着手できているか

この2つに「はい」と言えるなら、過度に不安がる必要はありません。言い切れない項目があるなら、そこが自社の弱点です。煽られて動くのではなく、決算書のここ1年の粗利率(売上に対する利益の割合)が下がっていないかを一度確認しておきましょう。

参考:帝国データバンク 倒産集計 2026年上半期報

② 補助金は締切と「名称改編」に注意

補助金を旧名で検索して「もう無い」と早合点する事故が、この時期に増えます。2026年度は主要な補助金の再編・改称が進んでいるためです。

まず締切が近いのが事業承継・M&A補助金(15次公募)です。事業を後継者に引き継ぐときや、M&A(会社・事業の売買)にかかる費用を支援するもので、申請受付は2026年6月19日〜7月24日17時。事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業再チャレンジ枠の4枠で公募されています。検討している方は締切が目前です。

もう一つ、名称そのものが変わった代表例がものづくり補助金です。従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という名称に変わりました。旧名で検索すると最新の公募情報にたどり着けないことがあります。統合後の第1回公募は、申請受付が令和8年(2026年)8月31日から、応募締切が令和8年(2026年)9月30日18時です。先ほどの事業承継・M&A補助金(17時締切)と締切時刻が異なる点も、あわせてメモしておくと安全です。

ポイントは「旧名で探さず、締切の早いものから公式で確認する」ことに尽きます。制度の正式名称・上限額・締切は改定されることがあるため、本記事の数字も含め、申請前に必ず一次情報で最新版を確かめてください。

参考:中小企業基盤整備機構 事業承継・M&A補助金(15次公募)公募要領公開事業承継・M&A補助金 事務局サイト新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト

③【続報】2026年度の最低賃金、目安は7月23日へ持ち越し

前回のニュースでお伝えした最低賃金の審議は、金額の結論が先送りになりました。

厚生労働省の中央最低賃金審議会(目安に関する小委員会)は7月17日の第3回会合で、目安額の具体的な議論に至らず、次回の7月23日に決着を持ち越しました。企業の支払い能力の捉え方などで労使の見解の溝が埋まらなかったためです。答申は7月下旬の予定で、その後8〜9月に各都道府県が地域別の金額と発効日を公示する流れは変わっていません。

したがって、引き上げ額はまだ確定していません(未確定)。ここは答申を待つほかありません。ただし「引き上げが行われる」という方向自体は変わっていないため、経営者としては金額を待つ間にできることがあります。仮に昨年並みの上げ幅だった場合に人件費が年間いくら増えるかを、時給×人数×想定引き上げ額で先に試算しておくことです。金額が確定してから慌てるより、確定前提でシミュレーションだけ済ませておくほうが動きやすくなります。

参考:厚生労働省 中央最低賃金審議会(目安に関する小委員会)

リマインド:インボイス2割特例は9月30日を含む課税期間で終了

期限が静かに迫っているのがインボイスの2割特例(免税事業者から課税事業者になった小規模事業者が、納める消費税を売上税額の2割に軽減できる措置)です。この特例は2026年9月30日を含む課税期間までで終了します。個人事業主なら2026年分の確定申告が最後の適用となります。

終了後、法人は本則課税か簡易課税を選ぶことになります。個人事業主については、令和8年度税制改正で緩和措置として令和9・10年分(2027・2028年分)の2年間、納税額を3割に軽減する「3割特例」が用意される見込みです。いずれにせよ、来年以降の消費税の計算方法が変わる可能性が高いため、自社がどの方式になるかを早めに確認しておきましょう。

参考:国税庁 2割特例(負担軽減措置)の概要

今週おさえておくこと

  • 倒産動向:過去最多の要因は「価格転嫁の遅れ」と「人手不足」。自社の粗利率がこの1年で下がっていないか、値上げと省力化に着手できているかを点検する
  • 補助金:旧名で検索しない。ものづくり補助金は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合・改称(第1回締切は9月30日18時)。事業承継・M&A補助金(15次)を検討中なら締切は7月24日17時。制度名・締切は公式サイトで最新を確認する
  • 最低賃金:目安額は7月23日以降の答申待ち(未確定)。確定前提で、想定引き上げ額から年間の人件費増を先に試算しておく
  • インボイス2割特例:2026年9月30日を含む課税期間で終了。個人は2026年分申告が最後。来年以降の消費税の計算方式を今のうちに確認する