路線価+2.9%・省力化補助金・最低賃金|経営者向け今週のニュース

7月1日は、経営者に関わる公表が一気に集まった一日でした。路線価・補助金・最低賃金という、税金・投資・人件費の3つが同じ週に動いています。事業への影響が大きいものだけを、確定していることと見込みを分けて整理します。

① 令和8年分の路線価が公表(全国+2.9%・過去最大)

7月1日午前、国税庁が令和8年分(2026年分)の路線価を公表しました。路線価とは、相続税・贈与税を計算するときに使う土地の評価額の基準です(道路に面した土地1平方メートルあたりの価格)。

標準宅地の全国平均は前年比+2.9%で、5年連続の上昇。この上昇率は、現在の算定方式になった2010年以降で最大です。上昇したのは36都道府県にのぼり、都道府県別で最も伸びたのは東京都の+9.4%。県庁所在都市の最高路線価は、47都市すべてで前年より上がりました。

全国で最も高いのは東京・中央区銀座5丁目「銀座中央通り(鳩居堂前)」で、1平方メートルあたり5,336万円。前年から11.0%上がり、41年連続で全国最高となっています。

経営者にとっての「だから何」は相続です。土地の評価が上がるほど、相続税・贈与税の評価額も上がります。これまで基礎控除内に収まっていた方が、地価上昇だけで課税対象に入ってくることもあり得ます。事業用の土地・自社ビルをお持ちの方は、令和8年分で評価額を再試算しておきましょう。あわせて、納税資金(相続税は原則、現金一括納付)が確保できるかも確認したいところです。ただし実際の税額は特例や個別事情で大きく変わるため、上がった=必ず増税とは限りません。

参考:国税庁 令和8年分の路線価等について国税庁 財産評価基準書 路線価図

② 省力化投資補助金 第7回が受付開始(7/1〜7/31)+持続化補助金10次

人手不足対策で設備投資を考えている中小企業には、こちらが本題です。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の第7回公募が、7月1日(水)10時に受付を開始しました。申請期間は2026年7月1日〜7月31日(金)17時。IoTやロボットなど、人手不足の解消につながる設備の導入を支援するもので、賃上げにも結びつける狙いがあります。補助上限は事業規模で分かれ、従業員101人以上の枠では通常最大8,000万円、大幅な賃上げを行う場合は最大1億円まで引き上げられます。

注意したいのは申請の入口です。この補助金の申請には「GビズIDプライム」アカウント(行政手続きに使う事業者用の共通ID)が必要で、取得に日数がかかります。締切間際に慌てないよう、応募を検討するなら今週のうちにID取得から着手しておくのが現実的です。

あわせて、小規模事業者持続化補助金<一般型・災害支援枠>(10次)の公募要領が6月30日に公開されました。こちらは能登半島地震・豪雨で被害を受けた小規模事業者の事業再建を支援する枠です。受付は7月下旬から始まる見込みですが、具体的な日程・上限額は公募要領で必ず確認してください(※申請枠により条件が異なります)。

参考:中小企業省力化投資補助金(一般型)中小企業庁 持続化補助金(災害支援枠)10次 公募要領公開(開けない場合は小規模事業者持続化補助金の親ページから辿れます)

③ 2026年度の最低賃金審議が本格化

人件費に直結する話です。2026年度の最低賃金を決める議論が、いよいよ本格化します。

厚生労働省の中央最低賃金審議会(目安に関する小委員会)は、7月10日・17日・23日(いずれも開催予定)で、7月下旬に引き上げの目安額を答申する流れです。その後、各都道府県が地域ごとの金額と発効日を8〜9月に公示します。

引き上げ幅そのものはまだ確定していません。ここは見込みとして受け止めてください。使用者側(企業側)からは、2025年度並みの大幅な引き上げには慎重な見方も示されています。2025年度は全国加重平均で+66円と過去最大の伸びだったため、これと同水準になるかは現時点で不透明です。

発効時期については、今年は例年どおり10月ごろの発効となる可能性が高いとみられます(見込み)。いずれにせよ引き上げ自体は避けられない前提で、人件費の年間見通しを早めに立て直しておくのが得策です。

参考:厚生労働省 中央最低賃金審議会(目安に関する小委員会)

今週おさえておくこと

  • 路線価:事業用の土地・自社ビルをお持ちなら、令和8年分で評価額を再試算し、相続税の納税資金が確保できるかを確認する
  • 省力化投資補助金:申請するなら締切は7月31日17時。まずGビズIDプライムの取得状況を今週チェックする
  • 持続化補助金(10次):対象地域の小規模事業者は、公募要領で受付日程と上限額を確認する
  • 最低賃金:引き上げ幅は7月下旬の答申待ち。確定前提で、10月発効を想定した人件費の年間見通しを立てておく